フィリピン~台湾遠征 その12

夜の9時を回る頃、前方にわずかな光が見えた。

街の明かりだ。

うねりによって、見え隠れしているものの、間違いない。

ライトをつけて、GPSを確認する。

残り16km

はっと気付く。

雲の下に見える黒い塊。

雲だと思っていたのは、島だった。

これこそがサブタン島だ。

遠くに見えているのは、バタン島の街の明かりなのだろう。

地図と本物の島のイメージがずれていた。

御褒美をもらったような気分。

この時点で16時間、漕いでいたことになる。

肉体的には、まったく問題なかった。

かなり調子が良い。

あと3時間もかからないだろう。

島の東岸に入れば、風が止まった。

ライトで岸を照らしてみる。

波が、岩礁にくだけ、上陸できる場所がない。

もう少し先に行こう。

沿岸を北上しても、街のあかりはない。

見えていた光は、さらに北にあるバタン島のあかりであった。

バタン島へ行くには、もう一つ小さな海峡を渡らなければならない。

サブタン島で上陸できる場所を探そう。

安心してるので、ゆっくり漕ぐ。

寒さがやってきた。

もう23時を回っている。

体が冷え切る前に、上陸したい。

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