フィリピン~台湾遠征 その11

星がなければ、ライトをつければいいのでは、という人がいる。

ライトをつければ、手元だけは明るくなるが、周りがまったく見えなくなる。

うねりがブレイクした海で、波の動きがみえないのは危険だ。

夕刻、流れは北西から北に、そして西風が強くなり、北東に流れるようになっていた。

進路は、北北西に向けている。

午後6時で、残り35km

平均時速10kmで漕いできた事になる。

ここまでは、イメージどおりに来ていた。

暗くなるころには、肉眼で島をとらえられるだろう。

現在の航行スピードは、時速7kmになっていた。

島に近づいて、黒潮の本流は外れたのかもしれない。

20時までに島の明かりが見えれば、しめたものだが、灯台はないだろう。

後方からタンカーが南から北へ登っていく。

右舷がみえている。

良かった、今回もあたらずにすむ。

あれは、中国、もしくは台湾へ行く船だろうか。

あたりが暗くなり、手元のコンパスすら見えなくなった。

北の空は、雲に覆われている。

一番星が、後方に出ていた。

とりあえず微妙な雲の濃淡で方向を決める。

波が、黒い壁となって目の前を通過する。

うねりが崩れれば、暗闇に白い残泡。

それを突き進むカヤックを見て、俺は進んでいるぞ、と鼓舞する。

黒い壁を見すぎてはいけない。

宮古島~久米島へ渡ったときの教訓は、今年も生きている。

崩れる波を、恐れる必要はない。

波に対して、体は自然に動くようになっている。

今は早いピッチで、パドルを振り回す必要はない。

確実なパドリングこそが重要だ。

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