フィリピン~台湾遠征 その8

バブヤン島を目指す

早朝、530分、アーノルドに見送られる。

風は、南から吹いているが、午後には西風になる筈だ。

そして、このあたりからは、黒潮の影響がでてくるだろう。

北東60km沖合いにあるバブヤン島の集落を目指す。

バブヤン島は、人口こそ少ないが、台湾から移り住んだ人々が生活しているという。

島は大きく、断崖が多く、上陸できる場所は限られている。

50kmは離れているが、島ははっきり見えているのが嬉しい。

直線で結べば、45度、ほぼ北東を向いて漕げばよいが

北への流れを考慮して、カヤックの進行方向は、真東に向けた。

スタートして、海面が荒れている。

深海から急上昇している海底に流れがぶつかり、複雑な波を作り出しているのだ。

高さは、1mくらいだろうか。

頭から波をかぶるようなものでなく、カヤックのデッキの上を海が洗う程度である。

前後左右に船が、揺れるが難しくはない。

パドリングのリズムもそれほど崩れない。

この程度の海は、日本の島々を回れば、各地で経験できる。

まだ、ここは大きな海のぶつかりあいではないのだろう。

しばらくして、複雑な3角波エリアは抜ける。

海は、北へ3キロメートル程で流れていた。

流れが変わらなければ、単純に10時間で30km北へ流れることになる。

カラヤン島の出発地から、バブヤン島の目的地の緯度の差が、30㎞程だ。

東へ50km(約8時間)も漕げば、バブヤン島に近辺につくのだから、

理想的なコースを狙える流れである。

潮流が動き出せば、必ず西への流れが加わる筈だ。

この流れをどう読むかが難しい。
今までのように3kmくらいの流れならば、なんとかなる。

黒潮本流の流れが、もしカラヤン島とバブヤン島の間を抜けているとする。

おそらく時速6km以上で北西に流れるだろう。

これは、昨年、黒潮本流を横切った経験と、バブヤン海峡を渡った経験から予想出きる。

とすれば、東に向けて、漕いでいるだけではバブヤン島には到達出来ない。

もっと南を向けないといけないことになる。

バブヤン島を狙うとすれば、長期戦になることを意味していた。

20時間を越える横断になる。

おそらく目の前に迫っている島へ時速2km以下でしか近づけない。

島に灯台はなく、上陸する陸にも明かりはないだろう。

我慢のパドリングを続けた末、北への流れが強くなったとすれば島に到達できない。

その場合、バブヤン島から80km北にある、サブタン島を目指すことになる。

今日の横断は、最悪の場合を考えて、3日間は、漕ぎ続けられる準備をして出発した。

水、食料、ライト、全ては身の回りにある。

GPSも衛星電話も手元にあった。

単独行では、ちょっとした事前の準備が命に関わってくるのだ。

5時間を経過して、残り30km

良いペースだ。

が、流れが北西に変った。

スピードは、時速7kmから徐々に落ちてきた。

体の疲れはないが、

少しづつ、イメージしていたルートから

北に外れてきているのがわかった。

まだ西風は吹いて来ない。

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